経営戦略

建設業許可の要件と取り方|「経管」と「専技」の壁を越える方法を行政書士が書く

本記事は、当事務所の代表行政書士が実務に基づき執筆しています。

「元請から建設業許可を取ってくれと言われた」「500万超の工事を受注したいけど許可がない」──こういう相談がうちの事務所には月に何件も来ます。

建設業許可の要件は、調べれば調べるほど複雑に見える。経営業務の管理責任者に5年の経験、専任技術者に国家資格か10年の実務経験、財産的基礎に500万円。それぞれの要件が何を指しているのか、自分が要件を満たしているのか、ネットの情報だけでは判断しづらいと思います。

この記事では、建設業許可の要件を一つずつ説明しつつ、「要件が足りないときにどうするか」の実務的な対応まで書きます。制度の説明だけなら国土交通省のサイトを読めば済むので、ここでは行政書士として申請に関わってきた経験をもとに、実務上のポイントに絞って書いていきます。建設業許可は行政書士の業務の中でもかなり専門性が高い分野で、許可の要件を満たしているかどうかの判断一つ取っても、経験がないと難しい部分が多いです。

建設業許可が必要な工事と不要な工事

建設業許可が必要な工事と不要な工事

まず前提として、すべての建設工事に許可が必要なわけではありません。

建設業法第3条で、「軽微な建設工事のみを請け負う場合」は許可不要とされています。軽微な建設工事とは、建築一式工事の場合は請負代金1,500万円未満(または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)、それ以外の建設工事は請負代金500万円未満。

ここで注意してほしいのは、この500万円には材料費と消費税が含まれるということ。「工事代金は480万円だけど、元請支給の材料費を足すと600万円」──この場合は500万円を超えるので許可が必要です。元請が材料を支給する場合でも、その材料費は請負代金に含めて計算する(建設業法施行令第1条の2)。ここを知らずに「工事代金だけなら500万未満だからセーフ」と思っている方がいますが、違います。

許可なしで500万円以上の工事を請け負った場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(建設業法第47条)。これは下請だけでなく、無許可業者に発注した元請にもペナルティが及ぶ可能性があります。元請が「許可を取ってくれ」と言ってくるのは、自社のコンプライアンスリスクを避けるためでもあるわけです。

実務上の話をすると、500万円を少し超える程度の工事で「分割して500万円未満にすれば許可不要では」と考える方がいます。たとえば800万円の工事を400万円ずつ2本に分ける。しかしこれは建設業法上、「正当な理由なく分割してはならない」とされています。合理的な理由なく工事を分割して許可逃れをすると、行政指導や罰則の対象になり得ます。こういう小手先の対応はリスクが高いので、素直に許可を取った方がいい。

最初に決めること──知事か大臣か、一般か特定か

最初に決めること──知事か大臣か、一般か特定か

許可の申請にあたって、まず3つのことを決める必要があります。

1つ目は「知事許可」か「大臣許可」か。これは営業所の所在地で決まります。営業所が1つの都道府県内にあれば知事許可、2つ以上の都道府県にまたがる場合は大臣許可。中小の建設業者はほとんどが知事許可です。

2つ目は「一般建設業」か「特定建設業」か。これは下請への発注金額で決まる。元請として工事を受注し、下請に出す合計金額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合は特定建設業の許可が必要。それ以外は一般建設業。

なおこの金額基準は2025年2月1日に引き上げられました。改正前は下請金額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)が特定の基準でしたが、建設資材や人件費の高騰を受けて500万円ずつ引き上げられた(建築一式は1,000万円引き上げ)。つまり「今まで特定が必要だった規模の工事が、一般でもOKになった」ケースがある。逆に言えば、これから許可を取る方にとっては一般建設業で済む範囲が広がったということです。

特定建設業は一般建設業より要件がかなり厳しい(財産的基礎の要件が4,000万円以上、専任技術者は1級資格のみ等)ので、一般で済むなら一般で取るべきです。ほとんどの中小建設業者は一般建設業の知事許可で事足りると思います。

3つ目は「どの業種で取るか」。建設業の許可は29業種に分かれていて、業種ごとに取得する必要があります。土木一式工事、建築一式工事、大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事……と29種類ある。自社がどの業種に該当するかは、実際に行っている工事の内容で判断します。

よくあるのは「とび・土工・コンクリート工事」で取るケース。この業種は対象範囲が広くて、足場の組立て、くい打ち、コンクリート打設、外構工事など幅広い工事が含まれる。「うちの工事はどの業種にあたるのか」が分からない場合は、都道府県の建設業課に相談するか、行政書士に聞いてください。業種の選択を間違えると許可を取っても意味がない(その業種の工事しかできない)ので、ここは慎重に。

ちなみに2016年6月に「解体工事業」が「とび・土工・コンクリート工事」から分離して独立した業種になりました。解体工事を主にやっている事業者は、「とび・土工」ではなく「解体工事業」で許可を取る必要がある。経過措置はすでに終了しているので、これから申請する方は業種の選択に注意してください。

許可の要件──6つの壁

許可の要件──6つの壁

ここからが本題。建設業許可を取るために満たすべき要件は以下の6つです。

①経営業務の管理責任者(経管)がいること
②専任技術者(専技)がいること
③財産的基礎があること
④誠実性があること
⑤欠格要件に該当しないこと
⑥社会保険に加入していること

①と②が圧倒的にハードルが高い。③〜⑥は条件さえ整えば問題なくクリアできるケースが多いですが、①と②で詰まって許可が取れないという相談が大半を占めます。

【① 経営業務の管理責任者(経管)】

法人の場合は常勤の役員、個人事業主の場合は事業主本人が、建設業に関して5年以上の経営経験を持っていること。これが最も基本的なパターンです。

「5年の経営経験」というのは、具体的には建設業を営む会社の取締役として5年以上の経験、または個人事業主として5年以上建設業を営んだ経験。取締役ではなく「令3条の使用人」(支店長や営業所長クラス)としての経験でもOK。

問題は、この5年の証明です。確定申告書、登記簿謄本(役員就任の履歴)、建設業の許可通知書など、客観的な書類で5年分を証明する必要がある。個人事業主なら5年分の確定申告書と、その間に建設工事を請け負っていたことを示す契約書や注文書。法人の役員なら登記簿で役員就任期間を証明する。

「5年も経営経験がない」という場合。これで諦める方が多いんですが、いくつか突破方法があります。

まず2020年10月の法改正で、要件が緩和されました。常勤役員等に建設業の経験が5年なくても、「補佐者」を配置することで要件を満たせるようになった。

具体的には、常勤役員等が建設業の役員として2年以上の経験があり、かつ建設業の役員等または直下の管理職として通算5年以上の経験がある場合、その役員を「直接補佐する者」(財務管理・労務管理・業務運営の各担当者)を配置すれば、組織体制として要件を満たせます。

噛み砕いて言うと、社長の経営経験が3年しかなくても、経理担当と人事担当と業務管理担当にそれぞれ5年以上の経験者がいれば、組織全体としてOKになる可能性があるということです。ただしこの「補佐者」のルートは書類の量が膨大で、正直いって自分で申請するにはかなりハードルが高い。行政書士に依頼することを前提に考えた方がいいです。

もう一つの方法として、経営経験のある人を役員に迎えるという手がある。親族に建設業の経営経験者がいれば、その方に取締役に入ってもらう。実務でよく見るパターンです。ただし「常勤」が条件なので、名前だけ借りるのは不可。実際にその会社に常勤していることを保険証等で証明する必要があります。

【② 専任技術者(専技)】

各営業所に、一定の資格または経験を持つ技術者を専任で配置すること。一般建設業の場合は以下のいずれか。

  • 業種に対応する国家資格を持っている
  • 業種に関して10年以上の実務経験がある
  • 所定の学歴+一定年数(大卒3年、高卒5年)の実務経験がある

国家資格を持っていれば話は早い。1級・2級建築士、1級・2級施工管理技士(土木・建築・管工事・電気工事・造園・建設機械)、電気工事士、管工事施工管理技士、等。業種によって対応する資格が決まっていて、これは各都道府県の「建設業許可の手引き」に一覧表が載っています。

問題は「資格がない場合」です。実務経験10年で代替できますが、この10年の証明がとにかく大変。10年間にわたって建設工事に従事していたことを、契約書・注文書・請求書・請書などの書類で証明する必要がある。しかも都道府県によって求められる書類の数が違う。兵庫県の場合、10年分の工事実績について各年度ごとの確認資料が求められます。

前の会社で働いていた期間を実務経験として使う場合、前の会社に証明書(実務経験証明書)を書いてもらう必要がある。これが地味にハードルが高い。退職した会社に「証明書書いてください」と頼みに行くわけですから、関係が悪くなっていると頼みづらい。前の会社がすでに廃業している場合は、当時の代表者個人に証明してもらうか、他の方法で実務を証明するしかない。

「資格を取った方が早い」というのは、正直その通りだと思います。2級施工管理技士は学科と実地の2段階ですが、実務経験がある方なら十分取得可能です。資格を取れば10年分の書類集めは不要になるので、長い目で見れば資格取得の方が楽かもしれません。

あともう一つ。専任技術者は「営業所に常勤」が要件です。現場に出ずっぱりの技術者を専任技術者に据えると、常勤性の証明で問題が生じることがある。専任技術者は原則として営業所に常駐する必要があるので、工事現場の配置技術者とは別の人を充てる方が安全です。ただし、営業所と工事現場が近接していて常時連絡が取れる場合は兼任が認められるケースもあります。このへんの判断は都道府県ごとに微妙に違うので、申請前に確認してください。

それと複数業種の許可を取る場合、業種ごとに専任技術者を配置する必要があります。1人の技術者が複数業種の資格を持っていれば、その1人で複数業種の専任技術者を兼ねることは可能。なので「とび・土工」と「土木一式」の両方を取りたい場合、両方に対応する資格を持っている人が1人いればOKです。

【③ 財産的基礎】

一般建設業の場合、以下のいずれかを満たすこと。

  • 自己資本(純資産の額)が500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力があること(金融機関の残高証明書で証明)
  • 許可申請の直前過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること

新規申請の場合は3番目は使えないので、自己資本500万円か残高証明書のどちらか。

個人事業主の場合、自己資本500万円というのは確定申告書の「元入金」ではなく、資産と負債の差額(純資産)で判断されます。500万円に届かない場合は、残高証明書で証明する。銀行に500万円以上の残高がある状態で残高証明書を発行してもらえばOK。

ここで実務的な注意点。残高証明書には「発行日」と「証明日」がある。申請先の自治体によっては「申請日から1か月以内に発行された残高証明書」等の要件がある。タイミングを逆算して残高証明書を取得してください。「500万円を一時的に借りて口座に入れ、残高証明を取ったらすぐ返す」というのは制度上禁止されているわけではないですが。。まあ、あまり推奨はしません。

【④ 誠実性】

法人の役員、個人事業主、支配人、営業所の代表者が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと。具体的には、建築士法や宅建業法等で免許取消処分を受けて5年を経過していない場合等が該当します。

普通に事業をやっている方はまず問題になりません。ただ過去に別の許認可で処分を受けている場合や、宅建業者が業務停止処分を受けた経験がある場合などは該当する可能性があるので、心当たりがある方は確認してください。

【⑤ 欠格要件】

以下に該当すると許可を受けられません。主なものだけ挙げます。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 建設業許可を取り消されて5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられて5年を経過しない者
  • 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

法人の場合は役員全員について、個人の場合は事業主本人について確認されます。役員の中に一人でも該当者がいると許可が下りないので、役員構成は事前にチェックしてください。

確認方法としては、各役員について「身分証明書」(本籍地の市区町村で取得、破産者でないことの証明)と「登記されていないことの証明書」(法務局で取得、成年被後見人等に該当しないことの証明)を取得します。この2つは申請時にも添付書類として必要なので、どのみち取得する書類ではあります。

【⑥ 社会保険への加入】

2020年10月から、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険への加入が許可要件になりました。法人は強制加入なので問題ないはずですが、個人事業主の場合は従業員5人以上で強制加入。5人未満なら任意加入。

一人親方の場合はどうか。従業員を雇っていない一人親方は、厚生年金・健康保険の適用事業所にはならないので、国民健康保険と国民年金に加入していればOK。雇用保険も従業員がいなければ不要。ただし個人事業主として建設業許可を取った後に従業員を雇ったら、その時点で社会保険の加入手続きが必要になります。

営業所要件──ここで引っかかる人が意外と多い

営業所要件──ここで引っかかる人が意外と多い

6つの要件とは別に、地味だけど重要なのが「営業所」の要件です。建設業許可における「営業所」は、本店・支店・常時建設工事の請負契約を締結する事務所のこと。

営業所として認められるためには、以下の条件があります。

  • 外部から来客を迎え入れる体制があること(机・椅子・電話等の事務機器がある)
  • 契約締結等の事務を行うスペースがあること
  • 看板等で営業所であることが確認できること

自宅兼事務所で申請する場合、ここが一番のハードルです。居住スペースと事務スペースが明確に分かれている必要がある。申請時に営業所の写真(外観・内部・看板)を添付する自治体が多く、リビングにパソコンが置いてあるだけでは認められないケースがあります。

賃貸物件の場合は、賃貸借契約書に「事業用として使用可」の記載があるか、大家さんからの使用承諾書が必要になることがあります。「居住用」で契約している賃貸マンションを営業所にするのは、原則として難しいと思ってください。

レンタルオフィスやシェアオフィスの場合、個室であれば認められるケースが多いですが、フリーアドレスのコワーキングスペースは営業所として認められない自治体もある。ここは都道府県によって判断が分かれるので、事前に確認が必要です。

兵庫県の場合、営業所の写真は外観(建物全体と入口)、内部(事務スペース)、看板の3種類を添付します。看板は手作りでも構いませんが、商号と「建設業」であることが分かる内容が必要。申請前に営業所の写真を撮って、「これで通るか」を行政書士に確認してもらうのが無難です。写真の撮り方が悪くて差し替えを求められるのは時間の無駄なので。

あと意外と知られていないのが、営業所に固定電話が必要かどうか。実は法律上は固定電話が必須とは明記されていませんが、自治体によっては「連絡先として固定電話番号があることが望ましい」としているところもある。携帯電話のみで申請が通る自治体もありますが、信用面を考えると固定電話かIP電話はあった方がいいと思っています。

申請の流れと費用

申請の流れと費用

要件を満たしていることが確認できたら、申請書類の作成に入ります。

必要書類は膨大です。申請書本体、別紙(役員等の一覧、営業所一覧等)、工事経歴書、財務諸表、技術者の資格証明書、経管の経験を証明する書類、身分証明書、登記されていないことの証明書(欠格要件の確認用)……。各都道府県が出している「建設業許可の手引き」は100ページ以上あるものがほとんどで、これを読みこなすだけでも相当な時間がかかります。

費用は以下の通り。

申請手数料:知事許可の新規は9万円(収入証紙)。大臣許可の新規は15万円(登録免許税)。
行政書士に依頼する場合の報酬:10万〜20万円程度が相場。

自分で申請する場合は手数料の9万円だけで済みますが、書類の作成と証明資料の収集にかかる時間を考えると、行政書士に依頼した方が結果的に早く許可が下りるケースが多いです。特に経管や専技の証明書類は、書き方一つで窓口から補正を求められる。何度も役所に足を運ぶことになると、その間は500万円以上の工事を受注できないまま時間だけが過ぎていきます。

申請から許可が下りるまでの期間は、知事許可で1〜2か月程度、大臣許可で2〜4か月程度。ただしこれは補正がなかった場合の話で、書類に不備があれば補正対応の分だけ延びます。兵庫県の場合は概ね1か月〜1か月半程度で処理されることが多いですが、年度末(3月)は申請が集中するので遅くなる傾向があります。

うちの事務所の場合、建設業許可の新規申請は報酬15万円程度でお受けしています。書類作成から申請代行、許可が下りるまでのフォローまで含めた金額です。報酬の相場は事務所によって幅がありますが、極端に安い事務所は書類の作成だけで証明資料の収集は依頼者任せ、というケースもあるので、何が含まれているかは確認してください。

許可を取った後にやること

許可を取った後にやること

許可を取って終わりではありません。取った後にも義務があります。

【決算変更届(事業年度終了届)】
毎年、事業年度終了後4か月以内に「決算変更届」を提出する義務があります。これは会社の決算内容を許可行政庁に届け出るもので、工事経歴書や財務諸表等を提出します。

この届出を怠ると、5年後の許可更新ができません。更新の時になって「過去5年分の決算変更届が未提出」と言われて慌てる──このパターン、実際に年に何回か見ます。5年分をまとめて出すこと自体は可能ですが、一気に5年分の書類を作成するのはかなりの手間です。過去の決算書が手元にない場合は税理士に再発行を依頼する必要があるし、工事経歴書も5年分作らないといけない。

毎年の届出なので忘れがちですが、税理士から決算書をもらったらすぐに決算変更届を出す、という習慣をつけてください。行政書士に許可取得を依頼した場合、毎年の決算変更届も継続してフォローしてくれる事務所を選ぶと安心です。うちの事務所では許可取得後のフォローとして決算変更届の作成・提出もお受けしています。

【許可の更新】
建設業許可の有効期限は5年です。5年ごとに更新申請が必要。更新を忘れると許可が失効して、もう一度新規申請からやり直しになります。更新の申請は有効期限の30日前までに行う必要があるので、期限管理はしっかりやってください。

【変更届】
役員の変更、営業所の移転、経管や専技の変更があった場合は、変更届の提出が必要です。変更の種類によって届出期限が異なります(2週間以内、30日以内等)。特に経管や専技が退職した場合は迅速な対応が必要で、後任がいないと許可の取消しにつながる可能性があります。

実務で多いのは、専任技術者が退職してしまうケース。一人しかいない専技が辞めてしまうと、後任が見つかるまで許可を維持できない。見つからなければ許可を廃業届を出して返上するか、業種の一部を廃止するしかなくなる。だからこそ、専任技術者が自分一人しかいない場合は、資格を持つ社員を育てるか、もう一人確保しておくことを強く勧めます。

【公共工事への参入】
許可を取得すると、経営事項審査(経審)を受けて公共工事の入札に参加できるようになります。公共工事は民間工事と比べて代金の回収リスクが低い(発注者が行政なので)というメリットがある。入札参加を考えている場合は、許可取得→経審→入札参加資格の申請、という流れになります。これは別途詳しく書くテーマなので、ここでは「許可を取った先にそういう道もある」とだけ触れておきます。

個人事業主(一人親方)で取る場合

個人事業主(一人親方)で取る場合

建設業許可は個人事業主でも取得できます。法人にする必要はありません。

ただし個人で取った許可は、法人化した場合に引き継げないという問題があります。個人事業主として許可を取得し、その後法人化した場合は、法人として改めて新規申請が必要です。手数料9万円と書類の作成コストがもう一回かかる。

「いずれ法人化する予定があるなら、先に法人化してから許可を申請した方がいいですか」──この質問もよく受けます。私の回答としては、法人化が1〜2年以内に確実なら先に法人化した方がいい。ただ法人化の予定が曖昧なら、とりあえず個人で許可を取っておいて、法人化のタイミングで改めて申請し直す方が現実的です。500万円以上の工事を受注できない期間が長引く方がビジネス上のダメージが大きいので。

一人親方特有の問題としては、経管と専技を自分一人で兼任するケースが多いこと。これ自体は問題ないですが、自分が入院したり長期離脱した場合に経管・専技の常勤性が維持できなくなるリスクがあります。許可の維持には常勤性が必要なので、この点は頭に入れておいてください。

個人事業主で許可を取る場合のもう一つの注意点として、事業主が死亡した場合に許可が失効するという問題があります。法人なら代表者が変わっても許可は維持できますが、個人の許可は事業主に紐づいているので、相続人がそのまま引き継ぐことはできない。2020年の法改正で「認可を受けた場合は事業承継が可能」という制度が導入されましたが、事前に認可を受けておく必要がある。事業承継のことまで考えると、やはりどこかのタイミングで法人化を検討した方がいいと私は思っています。

最後に

建設業許可の要件は複雑ですが、「経管」と「専技」の2つをクリアできるかどうかで許可が取れるかどうかがほぼ決まります。この2つの壁を越える手段は一つではないので、「5年の経営経験がないからダメだ」「資格がないからダメだ」と諦める前に、使える制度やルートがないか確認してみてください。

自分で申請するか行政書士に頼むかは、書類の収集と作成にどれだけ時間をかけられるかで判断すればいいと思います。時間に余裕があって、都道府県の手引き(兵庫県のものは100ページ超あります)を読みこなす根気がある方なら自分でも申請できます。実際に自分で申請する方もいらっしゃいます。

ただ経管や専技の証明で複雑なパターンに当たった場合──たとえば前職の実務経験を使いたいとか、補佐者ルートで申請したいとか──は、専門家に任せた方が結果的に早いし確実です。窓口で「この書類が足りない」「この経験は認められない」と言われてから対応するより、最初から通る書類を作って出した方が、許可が下りるまでの期間は短くなります。

要件を満たしているかどうかの確認だけなら、相談は無料で対応しています。経歴書や資格証、確定申告書などの書類を持ってきていただければ、その場で「行けそうか、難しそうか」の判断はできますので。

建設業許可の申請、要件の確認から代行まで対応します

経管や専技の要件を満たしているか分からない、書類の集め方が分からない、前の会社に実務経験証明を頼みたくない。こういった問題を一つずつ解決して、許可取得まで伴走します。

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