補助金

【令和8年度】兵庫県の空き家活用支援事業を徹底解説|住宅・事業所・交流拠点の補助金額を一覧で比較

本記事は、当事務所の代表行政書士が実務に基づき執筆しています。

兵庫県空き家活用支援事業

「実家が空き家になってるんだけど、リフォームして使えるようにしたいな……」

「空き家を買って事務所にしたいけど、改修費がかかりすぎる」

こういう悩み、兵庫県では年々増えています。2023年の住宅・土地統計調査によれば、兵庫県の空き家率は約14%。実に7軒に1軒が空き家という状態です。とくに地方部に行くほど深刻で、相続したけど住む予定がない、売るに売れない、管理だけで出費がかさむ——そんな空き家が大量に眠っています。

そうした空き家を「負担」から「資産」に変えるための補助制度が、兵庫県の「空き家活用支援事業」です。空き家をリフォームして住宅・事業所・地域交流拠点として活用する場合、改修工事費の一部を県が助成してくれます。補助金額は最大で550万円(地域交流拠点型の場合)。住宅型でも最大200万円、事業所型なら最大300万円です。

この記事では、10タイプ以上ある補助の種別ごとに、対象者・補助金額・申請手順をわかりやすくまとめました。「自分のケースならどのタイプが使えるのか」を判断できるように整理していますので、ぜひ参考にしてください。

【この記事について】

本記事は、兵庫県まちづくり部住宅政策課が公表している令和8年度の要綱・要領・Q&Aに基づいて作成しています。最新情報は兵庫県公式ページをご確認ください。

空き家活用支援事業とは|兵庫県の補助制度の全体像

空き家活用支援事業とは|兵庫県の補助制度の全体像
無資格コンサルによる申請代行に注意

2026年改正行政書士法により、無資格者が報酬を得て補助金申請書類を作成する行為への罰則が強化されました。詳細は2026年改正行政書士法のポイントをご確認ください。

まず制度の全体像をざっくり掴んでおきましょう。

空き家活用支援事業は、一戸建て住宅の空き家や共同住宅の空き住戸を「住宅」「事業所」「地域交流拠点」のいずれかとして活用するために改修する際に、工事費の一部を助成する制度です。平成18年度に始まった事業で、もうかなりの歴史があります。

項目 内容
実施主体 兵庫県(まちづくり部 住宅政策課)
活用の種別 住宅型・事業所型・地域交流拠点型の3類型(さらにタイプ別に細分化)
補助金額 タイプにより40万〜550万円
申請期間 令和8年4月13日(月)〜 12月25日(金)※予算上限に達し次第終了
申請先 空き家が所在する市町の窓口
活用義務 改修後10年以上

対象地域の条件(5つの都市は原則対象外)

この補助金には対象地域の制限があります。ここが最初のハードルです。

原則として以下の2つの条件を両方とも満たす区域が対象:

① 神戸市・姫路市・尼崎市・西宮市・明石市以外の区域
② 市街化区域以外の区域

つまり、5つの大きな都市と市街化区域は原則対象外です。ただし例外がいくつかあって、姫路市でも旧香寺町・安富町・夢前町・家島町の区域は対象になります。加東市の旧滝野町、たつの市の旧新宮町・揖保川町・御津町の市街化区域も対象。明石舞子住宅団地の区域は事業所型・地域交流拠点型のみ対象です。

「自分の物件が対象になるのかわからない」という場合は、物件が所在する市町の都市計画部局に確認するのが確実です。都市計画図を見れば市街化区域かどうかは一発でわかりますから。

なお、市街化区域内の空き家については県の直接補助は受けられませんが、市町独自の補助制度が使える場合があります。対象外だった場合でもすぐ諦めずに、市町の担当窓口に聞いてみる価値はあると思います。

対象になる空き家の条件を確認しよう

対象になる空き家の条件を確認しよう

5つの基本要件

補助の対象になるには、空き家が以下のすべてを満たす必要があります。

① 申請時点で空き家であること
人が住んでいない状態が条件です。住民票の有無ではなく、実際に居住されていないかどうかで判断されます。

② 空き家の期間が6か月以上、または空き家バンクに登録されていること
6か月以上人が住んでいない状態が必要です。ただし、空き家バンクに登録されている場合は期間に関係なく対象になります。家財が置いてあったり、所有者が時々管理で訪問していても問題ありません。

③ 築20年以上であること
過去20年以内に増築部分があっても、築20年以上の部分がある空き家であれば対象です。

④ 台所・浴室・便所の水回り設備のいずれかが10年以上更新されていないこと
ただし、これは「対象になるかどうか」の判断基準であって、改修工事で水回りを直す必要はありません。屋根や内装だけの改修でもOKです。ここは勘違いしやすいポイントなんですよね。

⑤ 耐震性能を有すること(改修後に確保する場合も可)
昭和56年以前の旧耐震基準の建物でも、改修工事の中で耐震補強を行って基準をクリアすれば対象になります。耐震改修工事の費用も補助対象経費に含まれます。

加えて、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域等に位置していないことも条件です。

店舗付き住宅・別荘・共同住宅はどうなる?

店舗付き住宅:住宅部分と住宅以外の部分の面積を比較して、住宅部分のほうが大きければ対象になります。共用部(廊下・階段など)は面積比較に含めません。

別荘・二地域居住用の住宅:対象になります。空き家期間6か月以上等の要件を満たせばOKです。改修して別荘として引き続き使う場合も申請可能。

共同住宅(マンション・アパート等):空き住戸も対象です。ただし補助金額の上限が一戸建てより低く設定されているタイプがあるので、後述の一覧表で確認してくだざい。

空き店舗:対象外です。あくまで「住宅の空き家」が対象なので、直近の用途が住宅以外(店舗、飲食店など)だったものは補助を受けられません。

【住宅型】5タイプの補助金額と対象者

【住宅型】5タイプの補助金額と対象者

住宅として活用する場合、以下の5タイプがあります。自分に合うタイプを見つけてください。

一般タイプ(最大100万円)

最もベーシックなタイプです。空き家を住宅として活用する場合に使えます。自己居住用でも、賃貸住宅として貸す場合でも申請可能。歴史的景観形成地区の区域では住宅宿泊施設(民泊)として活用する場合も対象になります(市町長の推薦が必要)。

対象経費(一戸建て) 補助金額
100万円未満 対象外
100万〜150万円未満 40万円
150万〜200万円未満 60万円
200万〜250万円未満 75万円
250万〜300万円未満 90万円
300万円以上 100万円

工事費が100万円未満だと対象外になる点は注意が必要です。歴史的景観形成地区の区域では金額が約15%増しになります(たとえば100万〜150万円未満で46万円)。

若年・子育て世帯タイプ(最大150万円)

夫婦の満年齢の合計が80歳未満、または高校卒業までの子どもがいる世帯(妊娠中の方の同居を含む)が対象です。自己居住用に限りますし、空き家を所有する(取得する)ことが要件です。賃貸ではダメ。

対象経費(一戸建て) 補助金額
100万円未満 対象外
100万〜150万円未満 60万円
150万〜200万円未満 85万円
200万〜250万円未満 110万円
250万〜300万円未満 135万円
300万円以上 150万円

一般タイプと比べると補助金額がかなり手厚いですね。たとえば工事費300万円なら一般タイプで100万円のところ、若年・子育て世帯タイプなら150万円。50万円の差は大きい。

UJIターン世帯タイプ(最大200万円)

県外から兵庫県内に移住する世帯が対象です。こちらも空き家の所有が要件。県外から県内の賃貸住宅に転入後2年以内の世帯もOKです。申請者が転入すれば要件を満たすので、世帯全員での転入は必要ありません。

対象経費(一戸建て) 補助金額
100万円未満 対象外
100万〜150万円未満 60万円
150万〜200万円未満 85万円
200万〜250万円未満 110万円
250万〜350万円未満 135万〜160万円
350万〜400万円未満 185万円
400万円以上 200万円

住宅型の中で最も手厚い補助です。兵庫県への移住を検討している方は、この制度の存在をぜひ知っておいてほしい。工事費400万円以上で最大200万円ですから、実質半額補助に近いんですよね。

学生シェアハウスタイプ

学生向けのシェアハウスとして空き家を活用する場合に使えます。補助金額は一般タイプと同水準です。賃貸での活用も可能。大学が近くにある地域の空き家オーナーにとっては面白い選択肢だと思います。

歴史的景観形成地区タイプ

各タイプの中に「歴史的景観形成地区の区域」という上乗せ枠があります。篠山の城下町や出石の町並みなど、歴史的な景観が保全されている地区に空き家がある場合は、通常より約15%増しの補助金額が適用されます。ただし市町長の推薦が必要です。

【事業所型】空き家を仕事場にするなら|最大300万円

【事業所型】空き家を仕事場にするなら|最大300万円

空き家を事務所、店舗、工房、サロンなどの事業所として活用する場合は事業所型で申請します。住宅型と比べて対象経費の下限が高く(150万円以上)、そのかわり補助金額の上限も大きいのが特徴です。

一般タイプの補助金額

対象経費(一戸建て) 一般 歴史的景観形成地区 明舞団地
150万円未満 対象外
150万〜200万円未満 60万円 69万円 85万円
200万〜250万円未満 75万円 86万円 110万円
250万〜300万円未満 90万円 104万円 135万円
300万〜350万円未満 110万円 126万円 160万円
350万〜400万円未満 125万円 144万円 185万円
400万〜450万円未満 140万円 161万円 210万円
450万円以上 150万円 172万円 225万円

テナント経営のように、空き家を改修して事業所として他者に貸す場合でも申請可能です。賃貸住宅として貸すなら住宅型ですが、貸事務所として貸すなら事業所型で申請できます。

UJIターンタイプの補助金額

県外から移住して、兵庫県内で1件目の事業所を開設する場合は、UJIターンタイプで補助金額が上乗せされます。空き家の所有が要件です。

対象経費(一戸建て) 一般 歴史的景観形成地区 明舞団地
150万円未満 対象外
150万〜200万円未満 85万円 94万円 115万円
200万〜250万円未満 110万円 121万円 150万円
250万〜300万円未満 135万円 149万円 185万円
300万〜350万円未満 160万円 176万円 215万円
350万〜400万円未満 185万円 204万円 250万円
400万〜450万円未満 210万円 231万円 285万円
450万円以上 225万円 247万円 300万円

明舞団地のUJIターンタイプで最大300万円。かなりの金額ですね。地方で古民家を改修してカフェや工房を開きたいという移住者にとっては、この制度を使わない手はないでしょう。

住宅と事業所を兼ねる場合はどうなる?

改修後に住宅と事業所の両方の用途で使う場合は、面積が大きいほうの用途で申請します。たとえば住宅部分40㎡・事業所部分60㎡なら事業所型として申請。この場合、住宅部分の工事も含めて補助対象になります。

【地域交流拠点型】コワーキング・ワーケーション施設に|最大550万円

【地域交流拠点型】コワーキング・ワーケーション施設に|最大550万円

空き家を地域交流拠点として活用する場合のタイプです。ワーケーション施設、定額制多拠点居住サービス施設、コワーキングスペースなどが想定されています。

補助金額と対象経費

対象経費(一戸建て) 一般 / 明舞団地 歴史的景観形成地区
100万円未満 対象外
100万〜200万円未満 75万円 82万円
200万〜400万円未満 150万円 165万円
400万〜600万円未満 250万円 275万円
600万〜800万円未満 350万円 385万円
800万〜1,000万円未満 450万円 495万円
1,000万円以上 500万円 550万円

3類型の中で最も補助金額が大きい。1,000万円以上の改修で最大500万円(歴史的景観形成地区なら550万円)です。コワーキングスペースに活用する場合に限り、事務機器取得費も対象経費に含められるのもポイント。。

市町長の推薦が必要なケース

地域交流拠点型のうち、ワーケーション施設・定額制多拠点居住サービス施設・コワーキングスペース以外の用途で使う場合は、市町長の推薦が必要になります。たとえば地域の集会所やサロン、子ども食堂などとして活用する場合ですね。

ワーケーション施設やコワーキングスペースとして活用する場合は市町長の推薦なしで申請できるので、ハードルは意外と低いです。私は地方の空き家活用策としてコワーキングスペースは結構有望だと思っていて、リモートワークの普及で都市部から地方に通勤せずに仕事をする人が増えているわけですから、この補助金を活用して拠点を作るのは理にかなった選択肢だと感じています。

申請の流れと注意点

申請の流れと注意点

申請から補助金交付までのステップ

申請の流れは以下の通りです。

ステップ 内容
空き家が所在する市町の窓口に相談・申請書類を提出
県が審査し、交付決定通知を発行
交付決定後に工事の契約・着工
工事完了・代金支払い(令和9年3月31日まで)
完了実績報告書を提出
県の検査合格後、補助金を交付

申請書類の様式は兵庫県の公式ページからダウンロードできます。タイプごとに様式が異なるので、該当するものを選んでください。

絶対に知っておくべき4つの注意点

① 交付決定前の工事契約はNG
これが最大の注意点です。申請して交付決定通知を受け取ってから工事の契約をする、という順番を絶対に守ってください。「先に工事を始めてしまった」は取り返しがつきません。物件の取得(売買契約)は交付申請前でもOKですが、工事の契約だけは必ず交付決定後です。

② 令和9年3月31日までに工事と支払いを完了すること
年度内に工事完了と代金支払いが終わっていないと、補助金は交付されません。大規模な改修工事の場合、工期が半年以上かかることもあるので、逆算して早めに申請するのが安全です。

③ 改修後10年以上の活用義務
補助金を受けたら、10年間はその用途で活用し続ける必要があります。10年以内に転売したり、用途を変更して活用をやめたりすると、補助金の返還を求められます。1年目・4年目・7年目・10年目に活用状況の報告も必要です。

④ DIYでの改修も申請可能(ただし材料費のみ)
これは意外と知られていない情報です。工事業者に頼まず自分でリフォームする場合も申請できます。ただし補助対象になるのは材料費だけで、自分の労務費は当然含まれません。申請時点で既に住んでいると「空き家」に該当しないので注意してください。

市街化調整区域では都市計画法の許可が必要

ここは行政書士として強調しておきたいポイントです。

この補助金の対象地域は「市街化区域以外」が中心ですから、多くの場合、空き家は市街化調整区域にあることになります。市街化調整区域では、建物の用途変更(住宅→事業所など)や増築・改築をする場合に、原則として都市計画法の許可が必要です。

許可の手続きが完了していないと補助金の申請もできません。都市計画法の許可申請は自治体によって審査に1〜2か月かかることもあるので、補助金の申請スケジュールから逆算して早めに動く必要があります。

また、空き家の敷地が農地に接している場合や、農地転用を伴うケースでは農地法の許可も関わってきます。こうした許可申請は行政書士の業務領域ですので、必要な方はお気軽にご相談ください。

さらに、事業所型で飲食店や民泊を開業する場合には、食品衛生法の営業許可や住宅宿泊事業法の届出なども必要です。ちなみに民泊(住宅宿泊事業)は住宅型(一般タイプ)で申請、旅館業法の簡易宿所やホテル・旅館は事業所型で申請することになります。間違えやすいので覚えておくといいと思います。

まとめ|行政書士からのワンポイントアドバイス

兵庫県の空き家活用支援事業のポイントを振り返ります。

空き家を住宅・事業所・地域交流拠点として改修する際に、工事費の一部を県が助成する制度。住宅型は最大200万円、事業所型は最大300万円、地域交流拠点型は最大550万円。申請は4月13日から12月25日まで、先着順で予算上限に達し次第終了。

個人的に、この補助制度は兵庫県の中でもかなり良い制度だと思ってます。とくに事業所型と地域交流拠点型の補助金額は相当手厚い。空き家を持て余している方、地方で開業を考えている方にとっては「使わないともったいない」レベルの制度です。

ただ、この補助金はとにかく制度が複雑です。対象地域の条件、空き家の要件、タイプ別の補助金額、都市計画法の許可……全部を自力で調べてクリアするのはかなり大変。とくに市街化調整区域での用途変更を伴う場合は、都市計画法と農地法の許可手続きが先に必要になるケースが多く、ここで時間を取られると年度内に工事が完了しないリスクもあります。

まずは空き家が所在する市町の担当窓口に相談するのが第一歩です。そのうえで、許可申請や書類作成のサポートが必要であれば、当事務所でもご相談を承っています。

【お問い合わせ先】

兵庫県 まちづくり部 住宅政策課 住宅政策班
E-mail:jutakuseisaku@pref.hyogo.lg.jp
※メール件名に「空き家活用支援事業」、本文に「氏名」「電話番号」を明記
申請書類・手引き・Q&Aはこちら

「この空き家が対象になるのか知りたい」「都市計画法の許可が必要かどうか調べてほしい」「申請書類の書き方を手伝ってほしい」といった場合は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。空き家の活用に関わる許認可手続きは行政書士の専門分野です。