補助金

【令和8年度】兵庫県オープンイノベーション助成金を解説|他社との協業で最大100万円もらえる制度

本記事は、当事務所の代表行政書士が実務に基づき執筆しています。

オープンイノベーション助成金

「オープンイノベーションって、うちみたいな中小企業には関係ないでしょ?」

正直、そう思っている経営者の方が大半だと思います。実際、私もこの制度を最初に見たときは「スタートアップ向けの施策だろうな」という印象でした。でもよく読んでみると、これ、むしろ既存の中小企業にとってかなり使いやすい助成金なんですよね。

公益財団法人ひょうご産業活性化センターが実施する「オープンイノベーション助成金」は、2者以上の事業者が協業して新しい事業に取り組む際の経費を、上限100万円・助成率1/2で支援してくれる制度です。令和8年度から新設された助成金で、申請受付は2026年7月31日(金)16時まで

この記事では、募集要項の内容を噛み砕いて、対象者・対象経費・審査のポイント・申請手順までわかりやすくまとめています。「他社と一緒に何か新しいことをやりたい」と考えている兵庫県内の事業者の方は、ぜひ読んでみてください。

【この記事について】

本記事は、ひょうご産業活性化センターが公表している令和8年度の募集要項および案内チラシに基づいて作成しています。最新情報はひょうご産業活性化センター公式ページをご確認ください。

オープンイノベーション助成金とは|令和8年度の新制度をわかりやすく

オープンイノベーション助成金とは|令和8年度の新制度をわかりやすく
無資格コンサルによる申請代行に注意

2026年改正行政書士法により、無資格者が報酬を得て補助金申請書類を作成する行為への罰則が強化されました。詳細は2026年改正行政書士法のポイントをご確認ください。

まず「オープンイノベーション」という言葉が難しそうに聞こえますが、要するに「よその会社と組んで新しいことをやる」ということです。自社だけでは持っていない技術やノウハウを、別の事業者と掛け合わせて、新しい商品・サービス・事業を生み出す。それがオープンイノベーションの基本的な考え方になります。

で、この助成金は、そうした協業の「検討段階」から使えるのがポイントです。いきなり大きな事業を始めなくても、市場調査や実証実験(PoC)、打合せの経費まで助成対象になります。

項目 内容
実施主体 公益財団法人ひょうご産業活性化センター
助成率 対象経費の1/2以内
助成上限額 100万円
対象者 2者以上で協業する事業者(代表者が兵庫県内に拠点を有すること)
申請受付期間 令和8年4月17日(金)〜 7月31日(金)16時必着
助成対象期間 令和8年4月1日 〜 令和9年1月31日
審査方法 書面審査 → ヒアリング審査の2段階

この助成金は令和8年度から新設されたものです。兵庫県では以前から「ひょうごオープンイノベーション推進事業」としてセミナーやマッチング支援などを行っていましたが、協業に要する経費を直接助成する仕組みは今回が初めて。予算規模こそ公表されていませんが、上限100万円・助成率1/2という条件は、協業の初期段階を支援する制度としてはかなり手厚いほうだと私は思っています。

対象になる事業者・要件を確認しよう

対象になる事業者・要件を確認しよう

この助成金に応募するには、いくつかの要件を満たす必要があります。ただ、ひとつひとつはそこまで厳しくないので、順番に確認していきましょう。

応募資格の3つのポイント

① 兵庫県内に活動拠点があること
本店でなくても大丈夫です。支店、営業所、コワーキング施設の利用など、継続的な活動実態が認められる拠点があればOK。ただし、その拠点を起点に5年以上事業を営み続ける意思があることが条件です。具体的には令和14年1月末まで継続する意思、ということになります。

② 2者以上の事業者で協業すること
ここが最大のポイントですね。1社単独での申請はできません。必ず協業相手が必要です。協業にかかる契約・覚書等(秘密保持契約、共同研究開発契約、PoC契約、ライセンス契約など)を締結している、または締結予定であることが条件になります。

ちなみに、県外の事業者との協業も対象です。「兵庫県内の企業同士でないとダメ」というわけではないので、東京のスタートアップと神戸の製造業が組む、みたいなパターンでも使えます。過去に同じ相手と協業したことがある場合でも、今回が別の案件であれば応募可能です。

③ 革新的なテクノロジーやビジネスモデルを用いた事業であること
「革新的」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要は既存の延長線上にない新しい取り組みであればいいと解釈できます。単なる業務委託や下請け関係ではなく、お互いの強みを活かして何か新しい価値を生み出す事業である必要があります。

対象外となる業種・ケース

以下の業種は対象外です。

対象外の業種 備考
農業・林業 農業サービス業、園芸サービス業等は対象
漁業 全般が対象外
金融業・保険業 保険媒介代理業・保険サービス業は対象
病院・一般診療所・歯科診療所 医療業の一部
風俗営業等 風営法の許可・届出対象となる営業
興信所・易断所・競馬場等 一部のサービス業
政治・経済・文化団体、宗教

業種以外にも、フランチャイズチェーンや販売代理店等の契約に基づく事業は対象外になります。あと当然ですが、反社会的勢力と関係がある場合や、国税・地方税の滞納がある場合も応募できません。

それから、これは見落としがちなんですが、申請者は実質的な経営者(代表者)に限られます。従業員や部門担当者が申請することはできないので注意してくだざい。

助成対象になる経費と助成率

助成対象になる経費と助成率

助成率は対象経費の1/2以内、上限100万円。つまり対象経費が200万円以上あっても助成金は100万円で頭打ちです。逆に、経費が50万円なら助成金は25万円ということになります。

使える経費の一覧

経費項目 内容
旅費 協業先との打合せ、現地調査、実証実験等の国内出張に要する交通費・宿泊費
会議費 会場借料、機材借料、講師謝金、受講料など
備品費 実証実験等に必要な備品の購入・リース(単価1万円以上、取得価格50万円未満)
外注・委託費 市場調査、協業先調査、プロダクト開発、実証実験の外注費
通信費 WEBシステムの利用料、プロダクト開発・実証実験に要する通信費
その他諸経費 上記に属さないが必要性が特定できる経費

個人的にはこの経費の幅がこの助成金の一番の魅力だと感じています。「外注・委託費」の対象にプロダクト開発や実証実験が入っているのは相当使いやすい。たとえば協業相手と一緒にプロトタイプを作るとか、マーケティングリサーチを外部に委託するとか、そういった費用をカバーできるわけです。

旅費も地味にありがたくて、たとえば兵庫県の製造業が東京のスタートアップと組む場合、出張費だけでもそこそこかかります。公共交通機関の実費が対象なので、新幹線代も出ます(グリーン車はダメですが)。宿泊費は1泊あたり11,800円が上限です。

対象外経費に注意

一方、以下のようなものは助成対象外になります。

・消費税や所得税などの税金
・取得価格(税抜)が50万円以上の備品
・汎用性の高いパソコンやタブレットの購入
・自動車やバイクの購入・リース
・商品の仕入れ代、原材料費
・海外渡航費
・他の補助金・助成金で支援を受ける経費

とくにパソコンが対象外なのは引っかかる方が多いかもしれません。「協業のためにノートPC買いました」は通らないということです。あと、協業相手が購入した備品も対象外。あくまで申請者名義で発注・支払したものに限ります。

もうひとつ注意が必要なのが支払い方法です。クレジットカードやPayPay等の電子マネー決済は使えますが、領収書が出せるものに限定されています。リボ払いは全額対象外になりますし、分割払いで助成対象期間外に支払いが発生した場合も全額アウトです。。

審査の流れと選定基準

審査の流れと選定基準

この助成金は先着順ではありません。書面審査とヒアリング審査の2段階で選考されます。つまり、申請しても落ちる可能性は普通にあるということです。

書面審査→ヒアリング審査の2段階

審査の流れは以下の通りです。

時期 内容
8月中旬〜下旬 書面審査 → 結果通知
8月下旬〜9月中旬 ヒアリング審査(書面審査通過者のみ)
9月下旬頃 助成事業決定・結果通知

まず提出書類による書面審査があり、それを通過した人だけがヒアリング審査に進めます。ヒアリングには対象事業の責任者が参加する必要があるので、代表者本人か、事業を実質的に取り仕切っている人が出席することになります。

なお、審査経過や選定結果の詳細については問い合わせに応じてくれない、と募集要項に明記されています。落ちた理由は教えてもらえないということなので、最初の申請書の段階でしっかり作り込む必要がある。

審査で見られる5つのポイント

選定基準として、以下の5項目が公表されています。

① 実施体制の妥当性
協業する事業者同士の役割分担が明確か。それぞれの強みを活かした体制になっているか。

② 革新性・優位性
既存の商品やサービスと比べて、何が新しいのか。他にはない強みがあるか。

③ 市場性
そのビジネスに市場はあるのか。ターゲットとなる顧客層は明確か。

④ 費用の妥当性
申請している経費が事業の内容に対して適正か。「とりあえず上限いっぱいまで申請しておこう」という姿勢は見透かされます。

⑤ 実現可能性
計画通りに事業を進められる見込みがあるか。スケジュールに無理がないか。

私がこの手の審査書類を見ていて思うのは、②の「革新性」ばかりに気を取られて①と⑤が疎かになるパターンが結構多いということです。どれだけ革新的なアイデアであっても、実施体制がぐらぐらだったり、スケジュールが非現実的だったりすると評価されにくい。むしろ、地に足のついた計画を書いたほうが通りやすいんじゃないかと個人的には感じています。

申請手順をステップで解説

申請手順をステップで解説

申請の手順を時系列で整理します。

事前相談(任意)の活用

まず、申請前に起業プラザひょうご(神戸)で事前相談ができます。予約制で、申請書の内容や事業計画について個別にアドバイスがもらえるとのこと。

【起業プラザひょうごの情報】

所在地:〒650-8660 兵庫県神戸市中央区浪花町56 三井住友銀行神戸本部ビル2階
電話番号:078-862-5302
予約フォーム:https://x.gd/1eOnO

この事前相談、任意と書いてありますが、私は強くおすすめしたい。審査がある助成金では、事前相談で「この方向性で申請書を書いて大丈夫ですか」と確認しておくのが定石です。的外れな計画書を出して不採択になるよりも、事前にフィードバックをもらって修正するほうが遥かに効率的ですから。

申請書類の準備と提出方法

申請には以下の2つの手続きを両方とも受付期間内に完了させる必要があります。

手続き①:オンラインの申請フォームで基本事項を登録
Googleアカウントでログインして、申請フォームに基本情報を入力・送信します。7月31日(金)16時を過ぎると登録できなくなるので要注意です。

手続き②:必要書類をメールで提出
以下の書類を揃えて、起業プラザひょうご宛てにメールで送信します。

書類 備考
事業計画申請に係る基本事項 オンラインフォームで入力
事業計画申請書(様式1) センターHPからダウンロード
事業計画書(様式2) 同上
助成金の使途(様式3) 同上
補足資料 A4片面3枚まで(任意)
協業にかかる契約書・覚書等の写し 申請時に未締結の場合は用意でき次第提出
履歴事項全部証明書の写し 申請日から3か月以内のもの
県内拠点の確認書類 登記で確認できない場合に必要
直近の決算書(損益計算書)の写し

メール提出先:grants-apply@communitylink.jp
メール件名:【社名】オープンイノベーション支援助成金申請
添付ファイル:合計25MB以内

様式はひょうご産業活性化センターのHPからダウンロードできます。WordとExcelで作成する必要があり、手書きは不可です。

注意点として、協業にかかる契約書や覚書は申請時点で未締結でも応募は可能です。ただし、用意でき次第提出が求められます。とはいえ、審査では「実施体制の妥当性」が見られるわけですから、できれば申請時点である程度の書面は整えておいたほうがいいでしょう。少なくとも秘密保持契約(NDA)くらいは締結済みにしておきたいところです。

あと、同一事業者は異なる協業案件であれば最大2件まで応募可能です。これは意外と知られてない情報だと思います。複数の協業プロジェクトを同時並行で進めている企業にとっては、2件分で最大200万円の助成を受けられる可能性があるということです。

「ひょうごオープンイノベーション推進事業」との違い

「ひょうごオープンイノベーション推進事業」との違い

ここでひとつ整理しておきたいのが、名前が似ている「ひょうごオープンイノベーション推進事業」との関係です。混同しやすいので注意が必要です。

推進事業はセミナー+伴走支援プログラム

兵庫県が実施している「ひょうごオープンイノベーション推進事業」は、令和5年度から始まったプログラムです。2026年度は「Hyogo Open Innovation X」という名称で、以下の3段階のプログラムが用意されています。

ステップ1:エントリーセミナー(2026年6〜7月)
新規事業やオープンイノベーションの基本的な考え方や事例を紹介するセミナー。神戸・尼崎・姫路の3拠点で開催。

ステップ2:戦略策定プログラム(2026年7〜8月)
全4回の講座・ワークショップで、事業テーマの具体化やビジネスモデルの設計を行う実践型プログラム。

ステップ3:事業化・伴走プログラム(2026年9月〜2027年3月)
スタートアップとのマッチングからPoC実施まで個別に伴走支援。採択企業10社程度が対象。

こちらは兵庫県産業労働部新産業課が主体で、協業のプロセス全体を支援する「伴走型」の事業です。

助成金との併用・連携の考え方

比較項目 オープンイノベーション助成金 ひょうごオープンイノベーション推進事業
実施主体 ひょうご産業活性化センター 兵庫県産業労働部
支援内容 協業に要する経費の直接助成(上限100万円) セミナー・講座・個別伴走支援
対象者 兵庫県内に拠点を持つ事業者(協業先が必要) 新規事業やスタートアップ連携に関心のある県内企業
金銭的支援 あり(助成金) なし(プログラム参加は無料)
審査 書面審査+ヒアリング審査 伴走プログラムのみ採択あり

つまり、「推進事業」のほうは知識やネットワークの支援、「助成金」のほうは資金面の支援という位置づけです。両方を活用するのがベストだと思いますね。たとえば、推進事業のセミナーで協業の方向性を固めてから、具体的な協業の経費を助成金でカバーする——という流れは十分にありえるし、むしろ推奨されている組み合わせ方だと解釈できます。

ただし、推進事業の伴走プログラムで採択された企業が同じ事業内容で助成金も受けられるかどうかは、経費の重複がないことが前提になります。同じ経費に対して二重に支援を受けることはできないので、その点は事前にセンターに確認しておくのが無難です。

まとめ|行政書士からのワンポイントアドバイス

オープンイノベーション助成金の要点を改めて整理します。

2者以上の事業者による協業で、革新的なテクノロジーやビジネスモデルを活用した事業に取り組む場合に、経費の1/2・上限100万円を助成。旅費、会議費、外注費、備品費など対象経費の幅が広く、協業の「検討段階」から使えるのが特徴です。申請は7月31日まで。書面審査とヒアリング審査を経て、9月下旬頃に採否が決まります。

正直なところ、この助成金はまだ知名度が低い。令和8年度から新設された制度ということもあって、検索しても解説記事はほぼ出てきません。逆に言えば、今の時点で情報をつかんでいる事業者はチャンスだと私は思ってます。

この手の審査型の助成金で一番大事なのは、事業計画書の完成度です。「何をやるか」だけでなく、「なぜこの2社が組む必要があるのか」「この協業で何が生まれるのか」「市場はどこにあるのか」を論理的に、かつ熱意を持って書けるかどうか。ここが採否を分けるポイントになります。

まだ締切まで2ヶ月以上あります。まずは起業プラザひょうごの事前相談を活用して、申請書の方向性を固めるところから始めてみてはいかがでしょうか。

【お問い合わせ先】

公益財団法人ひょうご産業活性化センター 創業推進部 新事業課
〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1丁目8番4号 神戸市産業振興センター2階
TEL:078-977-9072
受付:平日 9:00〜12:00 / 13:00〜17:00
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